作業療法士の小児分野への転職|資格は必要? OT転職コラム

作業療法士が小児分野で働くには資格が必要?求められるスキルを解説

作業療法士としての小児分野でのキャリアは魅力的な選択肢の一つです。専門性を高めることで、この成長分野で長期的に活躍することが期待できます。

結論から言うと、作業療法士の国家資格があれば小児分野で働くことができます。

ただし、実際の現場では小児リハに関する専門知識や、関連する民間資格・研修の修了歴などが重視されることが多く、「現場で信頼されるスキル」として重要になります。

この記事では、作業療法士が小児分野で働く際に知っておきたいスキルや取得しておくと有利な資格について解説します。

資格は不要!でも、実務では専門性が評価される

資格のイメージ

作業療法士の資格で小児分野は対応可能

作業療法士は、国家資格さえあれば、年齢を問わずすべての対象に作業療法を提供することが可能です。

追加資格や研修を受ける必要はなく、作業療法士の資格だけで小児分野に携わることができます。

では、なぜ「小児の専門性」が求められるのか?

児童発達支援や放課後等デイサービスなどの現場では、次のような制度上の要件があります。

  • 児童指導員や保育士の配置義務

  • 機能訓練を行う場合の「機能訓練担当職員」の配置(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)

これらの条件は、専門性の高い支援を提供するための最低限の体制整備を求めたものです。

さらに、「加算」という報酬制度の仕組みによって、専門職の配置は経営的にも有利になります。

実務では「加算」取得のために専門職が重視される

たとえば「専門的支援加算」では、

  • 作業療法士等を常勤換算で1名以上配置

  • 個別支援計画に基づく専門的支援の提供

といった条件を満たすと、利用者1人あたり1日数十単位(数百円)が加算されます。

つまり、作業療法士の配置は、単なる人員確保ではなく、施設にとって「収益アップに直結する」重要な要素といえるのです。

しかし実際の現場では、より専門的な知識やスキルが求められる場面が多く、「作業療法士以外の専門資格を持っていること」自体が信頼や評価につながるケースも少なくありません。

特に、転職やキャリアアップを考えるうえでは、こうした専門資格の有無が大きな差になることもあります。

次に、現場で高く評価されている5つの専門資格について解説します。

現場で評価される5つの専門資格とキャリアアップについて

小児分野の作業療法士として信頼を得るには、国家資格だけでなく、より専門的な知識や技術の習得が重要です。

追加資格がなくても働くことはできますが、実際の現場では専門性が高く評価されます。

また、スキルアップや転職時のアピール材料にもなります。

小児分野でおすすめされる主な専門資格

小児分野で働く作業療法士が取得を検討すべき資格は、大きく3つのカテゴリーに分けられます。

1. 日本作業療法士協会による公式資格

  • 認定作業療法士
    5年以上の実務経験などをもとに取得できる、キャリアアップの基本資格です。

  • 専門作業療法士(特別支援教育)
    認定作業療法士を取得後、10年以上の経験や50症例の実績、研究発表など、非常に厳しい条件を満たすことで認定されます。

2. 特定の治療法に特化した専門資格

  • 日本感覚統合学会認定セラピスト
     発達障がいのこどもへの支援に用いられる「感覚統合療法」の専門資格。A~Cまでの段階的講習会を修了することで取得可能です。

  • 応用行動分析士(BCBA/BCaBA)
     行動分析士認定協会が認定する国際資格で、指定された大学院レベルの授業や長時間の実務経験など、非常に高度な要件があります。

3. 教育との連携を重視する資格

  • 特別支援教育士(S.E.N.S.)
     特別支援教育士資格認定協会による資格で、2年以上の実務経験が受験条件。教育分野との連携を視野に入れる方におすすめです。

専門資格だけでなく「現場力」も求められる

現場で信頼されるためには、実際に必要とされる知識やスキルをバランスよく備えることも大切です。

現場で求められる主な専門知識は、以下の3点です。

1. 発達への深い理解

こどもは年齢ごとに発達の段階が異なります。

赤ちゃんから高校生までの正常な発達を理解し、各年齢に応じた支援が求められます。

たとえば「手先が不器用」といった表面的な問題があったとき

実際には感覚統合の課題や環境要因など、複数の背景があることが多いため、正しく見極める力が必要です。

2. 病気や障害の特性に関する知識

  • 脳性麻痺

  • 自閉症スペクトラム障害

  • 注意欠如・多動症(ADHD)

  • 学習障害(LD) など

これらの障害について、症状だけでなく、こどもの生活全体への影響を踏まえて支援を考える視点が求められます。

3. 家族支援とコミュニケーション力

こどもへの支援は、保護者や家族の協力なくしては成り立ちません。

保護者の気持ちに寄り添い、接し方のアドバイスを行いながら、他の専門職とも連携を取るための対話力・調整力が重要です。

作業療法士として、こうした専門知識を身につけ、資格を取得しておくことは、小児分野への転職やスキルアップの場面で大きな強みになります。

特に、発達障がいのあるこどもの支援には、発達の段階や特性への深い理解が欠かせません。

とはいえ、現時点で「発達の知識に自信がない」という方もご安心ください。

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最後に、小児分野への転職の3ステップを現場の視点から解説します。

作業療法士が小児分野に転職するための3ステップ

転職のイメージ

作業療法士の小児分野への転職は、需要の高まりにより、しっかりと準備をすれば十分にチャンスがあります。

専門性のある人材が求められている今だからこそ、段階的な戦略で転職を成功させることが可能です。

小児分野の市場の需要の高まりについて

厚生労働省の調査によれば、発達障がいと診断されるこどもの数は年々増加しています。

診断数の推移

  • 2016年:約48万1千人

  • 2022年:約87万2千人(約1.8倍に増加)

出典:厚生労働省|令和4年生活のしづらさなどに関する調査

これに伴い、児童福祉サービスの施設数も急増しています。

事業所数の変化(2015年 → 2023年4月)

  • 児童発達支援事業所:3,517箇所 → 10,911箇所(約3.1倍)

  • 放課後等デイサービス:6,999箇所 → 20,307箇所(約2.9倍)

出典:厚生労働省|令和5年統計情報

つまり、小児領域の作業療法士には確かなニーズがあるということです。

転職市場も活発で、未経験からスタートできる職場も増えています。

作業療法士の転職準備の進め方

小児分野でしっかりと活躍するためには、段階的な準備がカギになります。

以下の3ステップを意識することで、転職の成功率が高まります。

ステップ1:知識の基盤作り(目安:6ヶ月〜1年)

現在の職場に在籍しながら、小児に関する知識を体系的に身につける期間です。

おすすめの学習方法

  • 日本作業療法士協会の小児領域向け研修への参加

  • 発達障がいや支援技法に関する専門書の読解

  • オンライン講座やeラーニングの活用

ステップ2:実践経験を積む(目安:1〜2年)

学んだ知識を現場で活かすために、こどもと直接関わる経験を増やします。

経験を積む方法

  • 放課後等デイサービスや児童発達支援事業所での非常勤勤務

  • 支援団体や療育施設でのボランティア活動

特に放課後等デイサービスは非常勤採用も多く、柔軟な働き方が可能です。

こどもとの関わりを通じて実践力が高まり、転職時の強みになります。

ステップ3:本格的な転職活動

知識と経験が整ったら、いよいよ本格的に転職活動を始めましょう。

転職活動のポイント

  • 複数の転職サイトに登録して情報収集

  • 気になる事業所への直接問い合わせ

作業療法士の履歴書の書き方や面接対策については以下の記事で詳しく解説しています。

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小児分野への転職時のポイント

ポイント①専門性による差別化が有利に

多くの求人で「未経験OK」と明記されている一方で、経験者や専門スキルを持つ人材は優遇される傾向にあります。

優遇の例

  • リーダーや管理職候補として採用

  • 研修制度の充実

そのため、採用後もスキルを伸ばしていける環境を選ぶことが重要です。

ポイント②勤務条件の確認も忘れずに

医療機関とは違う勤務スタイルの事業所も多いため、家庭との両立やライフスタイルに合うかも事前にチェックしておきましょう。

よくある勤務条件の違い

  • 土曜勤務の有無

  • 学校長期休暇中のスケジュール変更

  • 保護者対応の時間外対応

こちらのページでは作業療法士の転職に関するコラムを公開しています

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